• 徳増浩司のブログ (Blog by Koji Tokumasu)

RWC2019とコミュニティづくり

本の最終ページに「2012.9.29成田空港にて購入」とメモ書きがしてあったので、この本を海外出張に行く直前に買ったことを思い出した。もう5年半前のことになる。

当時は、まだラグビーワールドカップの開催都市も決まっておらず、私は、ワールドカップ開催による地域の活性化というテーマを自分なりに勉強したくてこの本を買ったようだ。

『コミュニティデザインの時代』(山崎亮)。筆者の山崎氏をインターネットで検索すると、現在は、東北芸術工科大学芸術学部コミュニティデザイン学科教授(学科長)とある。6年前の執筆当時も、全国を行脚して、50を超えるまちづくりのワークショップを開催するなど、精力的に活動している。

本書では、2008年を境に人口減少が始まった我が国の将来のモデルは東京や神奈川などではなく、むしろ、すでに人口減少が始まった地方都市がどういうビジョンや方策を示せるかにあると指摘する。つまり、地方都市こそは「人口減少先進地域」であり、やがて私たちは同じことを日本全国で経験することなるという。

ラグビーワールドカップの日本開催がどう街や市の活性化につながるかは、現在各地でさまざまな形で行政、民間、市民が一緒になって取り組んでいる。先般、袋井市の東京交流会での講演をきっかけに、私自身も、もっとそういう取り組みの事例を勉強しなければと痛感している。

さて、筆者によると、コミュニティとはまちづくりだけではなく、もっと単純に「何か楽しいことを始めようとする人の集まり」とも言える。地域に住む人や地域で活動する人たちがつながり、一緒に楽しいことをしたり、考えたり、地域という枠を超えて、自分たちの共通の課題を乗り越えていくことも、「コミュニティづくり」のひとつだ。

そう考えると、ラグビーワールドカップ日本開催を契機に、今、いろいろなコミュニティが全国に生まれている。新しいメンバーが既存のコミュニティに参加したり、今までになかった新たなコミュニティを立ち上げることで、人と人との新しいつながりが生まれている。

その意味からは、私たちが昨秋に立ち上げた「渋谷インターナショナルラグビークラブ」も新たなコミュニティづくりであるし、「イングランドのSwing Lowのようにスタジアムでみんなで歌える歌を日本に」と、シンガーソングライターの渡瀬あつ子さんが歌う『楕円桜』を全国に広めようという活動も、日本を包み込む地道で素晴らしいコミュニティ活動だ。

これからは、もう少しそういうことを意識しながら、毎日をすごしていきたい。