『君たちは何をめざすのか』には齊藤恵さんのお描きになったイラストがあふれていますが、中でも私が一番好きな作品は、第2章「夢の実現、ミラクルストーリー」の扉で使われている3人の子どもたちがのどかにグラウンドでプレーを応援しているものです。
実はこのイラストの原画になったのは、私自身がウェールズ滞在中に撮影した1枚の写真でした。ブリジェンドという名門クラブチームで毎年行われている「ブリジェンド・セブンズ」の大会中で、1977年ぐらいに撮影したものです。ウェールズの子どもたちは、こうやって大人たちのプレーを見ることによって自然にイメージトレーニングをして、ウェールズの伝統が守られていくのだと当時とても印象に残った写真でした。
齊藤恵さんに、イラスト化したときのお話をお聞きしました。
「いただいた資料のモノクロの写真を見たときまず、子どもたちの背中から、ラグビーへのワクワクした期待や、グラウンドから吹く心地いい風や、これからも続く彼らの友情を想像しました。そしてラグビーというスポーツが、ウェールズという国の文化でもあることに思いを馳せました。そして、ひょっとしたら休日の午後に、お父さんたちのプレーを
ドキドキしながら見ていたのかもしれないなぁ…。と思いました。
子どもたちのその先にあるのは、赤い代表のユニフォームに袖を通す姿かもしれない、そんなことを考えながら描いていました」。 イラストとともに、とっても素敵なコメントをいただきました