ラグビーワールドカップ開幕を1か月後に控えていた2019年8月15日、私の元に見知らぬ相手から一通のメールが届きました。「僕はイーサン・パーキンスです。オーストラリアに住む15歳の少年です」。”Hi my name is Ethan Parkin. I am a 15 year old boy from Australia. 「父と一緒にラグビーワールドカップに行くのですが、子どもたちの試合のレフリーをさせてもらえませんか?」 開幕を前に忙殺されていた私は、そのメールにさっと目を通しましたが、そのままにしました。すると、4日後にもう一通届きました。その時には「4万人を超える大観衆の前でレフリーをするのが僕の夢なのです」と書き加えてありました。そして、さらに3日にもう一通・・・・。その時に、私の気持ちが変わりました。
拙著『君たちは何をめざすのか』の冒頭の部分です。このメールがきっかけとなって、イーサン君は当初想像もしてなかったような体験をすることになります。その時には、この時のメールが、全国のみなさんの気持ちに支えられて、まさか一冊の本で紹介されるエピソードにまでなるとは想像もできませんでした。 「もし私があのままこのメールを放置していたら」と想像しただけで、今でもドキドキしてしまいそうです。
その後、私はイーサン君に「どうして僕のメールアドレスを知っているの?」と質問したところ、「最初は、組織委員会の問い合わせメールに送信したのですが、このアドレスに送ってくださいと言われました」とのこと。となると組織委員会で、誰かがわざわざ私のメールアドレスを教えたことになります。一体誰なんだ?もう今でははわかりませんが、その方もイーサン君の奇跡を作るきっかけになった一人ということになります。 今日は終戦記念日です。いろいろな思いがあります。そして、たまたまですが、ラグビーワールドカップ2019の子どもたちのストーリーが始まった日にもなります。本欄では『君たちは何をめざすのか』に出て来たみなさんの一年後を少しずつ紹介しながら、11月2日の決勝日に向かっていきたい思っています。(写真は、イーサン君から届いた3通のメールと、その後、すぐに送られてきたお父さんとの写真です)#君たちは何をめざすのか