• 徳増浩司のブログ (Blog by Koji Tokumasu)

<ラグビースクールでのコーチング>⑨卒業試合

創部5年目となった渋谷インターナショナルラグビークラブでも、昨日、小学部と高校部で、それぞれ初の卒業試合を体験しました。

これまで、特にそういうセレモニーをやらなかったのは、在籍する子どもたちの半数近くがインターナショナルスクールに通っているため、9月が新学期になるので「3月末に卒業する」という感覚が保護者や子供たちの間にないからでした。文部科学省も新型コロナウイルス禍で、一時「この機会に、日本も国際基準で、9月に新年度をスタートさせてはどうか」という議論があったことを覚えていらっしゃる方もいらっしゃることでしょう。

この議論は結局「現場が混乱する」という理由などで消滅してしまいましたが、今後の長いスパンで考えたときに、日本のアカデミックイヤーを9月スタートにすべきだと賛意を表明した人たちも少なくありませんでした。

私たちのクラブも、一応「インターナショナル」クラブとうたっているので、当初は「学年度」をあまり明確にしていなかったのですが、そうすると、外部ラグビースクールとのマッチメイキングができなくなってしまいます。小学高学年同士の試合、中学1年生同士の試合というカテゴリーで交流するからです。

そこで昨日は、小6にあたる学年の子たちの「卒業試合」を、江戸川区ラグビースクール主催の交流会で実施しました。 「4月から小学生から中学生になる」ということは、日本の子たちにはすっきり入るのですが、インターナショナルスクールの子たちには、学期の途中に“無理やり卒業させられた感覚”になりがちなので「君たちは4月からは違うエイジグループだよ」という自覚を持ってもらうことも大きな目的のひとつです。

外国籍の保護者に話を聞くと、イギリスやニュージーランドなどでは、そもそも小学校に日本の「卒業式」にあたるものはなく、保護者も出席せず、あっさりと普通の「終了式」のような形でしか行われないとのこと。「卒業」という意識がしっかり認識されるのは、せめて高校や大学で初めて体験するとのことでした。小学校から中学校は「卒業」ではなく、ひとつの「進級」というイメージだそうです。このあたりのカルチャーの違いを私も日々、体験させられています。

昨日、卒業試合を体験した6年生たちは、翌週、さっそく12人制のジュニアラグビーのルールでの練習試合を体験します。それにしても、小学生のミニラグビーから中学生のジュニアラグビーへのルールの変化の大きさには驚かされます。ほぼ半面のピッチから全面へ。ボールも成人と同じ5号級になります。まさに子どもの世界から大人の世界へのジャンプ。

このミニからジュニアへの移行期を、私たちはあらためて大切にコーチングしていかなければと思います。今週は、全国各地で小学校の卒業式が行われます。小1からの6年間のいろいろな思い、最後の2年間のコロナ禍、そういう気持ちのぎっしりつまった彼らを、私たち指導陣は、ゆったりと新たなジュニアラグビーの世界へと導入していかなければと思っています。(写真提供=渋谷インターナショナルラグビークラブ)