このところ駐日英国大使に会ったり、駐日トンガ王国大使に会ったりと表敬訪問が多く、ラグビースクールのコーチングについてあまり考えを進めることができませんでした。一方、先週の日曜には渋谷インターナショナルラグビークラブのオンラインコーチング会議があり、午後は世田谷区ラグビースクールの練習見学など、かなり多くのヒントが得られたのですがそれを文章にまとめる時間がありませんでした。
そういう活動を経て今頭の中にあるのは「そもそもラグビースクールはどうやってコーチをリクルートしてくるのか」というテーマです。
一般的にラグビースクールでは「保護者がコーチ」という形が基本だと思います。親子でスポーツに参加することは、理想的な形ともいえます。「親子でラグビーをやっていい汗をかいた。楽しかった!」ということが目的なら、目くじら立ててラグビースクールのコーチングを追求していく必要もありません。
しかし、「子どもたちに、より良い体験を与えたい。しかも自分も一緒にエンジョイしたい」と考えると、少し踏み込んでいく必要があります。ラグビースクールの保護者のバックグラウンドは様々です。まったくラグビーを経験していない保護者もいれば、場合によっては元トップリーガーまで。同じラグビー経験者でも、自分が属した高校や大学のラグビー部のスタイルやカラーが違うため、子どもたちに対しても、どうしても自分の過去の経験からラグビーをとらえがちです。
単なる技術的な部分ばかりではなく、「カルチャーの違い」もあります。そうしたバックグランドの違う保護者コーチのみなさんは、平日は仕事で忙殺されて、なかなかコーチングにじっくり取り組む時間も取りづらい。どうしても「昔取った杵柄」的なアプローチが目につきがちです。つまり「昔の名前で出ています」パターン。しかも、通常は、コーチとしてはズブの素人から始めることになります。
実はこの点こそがラグビースクールの共通の課題ではないでしょうか。学校の部活では平日から日常的に顧問(監督)の先生がいて、その先生をOBなどのアシスタントコーチを置くトップダウンの組織が作りやすいです。一方、ラグビースクールの場合には、コーチ同士はフラットな存在。しかもみんな平日は他の仕事に追われ、週末だけ集まるパターンですから、研修や研究をしている時間がない。コーチ陣を束ねてリードしていく存在(ヘッドコーチ)の存在がとても大切になります。
他のスクールの例がまだリサーチできていないので、一例として、先週日曜に行われた渋谷インターナショナルラグビークラブのオンラインコーチ研修の例をご紹介しましょう。当クラブの場合には、以下の7つのエイジグループに分かれて活動しており、それぞれにヘッドコーチが決められています。
昨年までは、リッキーさんというリコーブラックラムズでアシスタントコーチをしていた方が保護者にいたので、こういうカリスマ性のある方をトップに据えて「コーチングのありかた」のような内容でオンラインレクチャーをしていました。いわば、ワンウェイのセミナーです。
今年は初の試みとして、各エイジグループのヘッドコーチが10分ずつプレゼンをやることにしました。それぞれのグループの練習ドリルの中からイチ押しのドリルを取り上げて、その動画を見せながらコーチングポイントを指摘するというものです。
内容の詳細は今回は省略しますが、結果的にはとてもよかったと思います。たとえ10分であっても自分が発言しなければならないとなると、その10分間に内容のエッセンス盛り込んでくるからです。あるテーマをしっかり研究してくる・・・それは、ヘッドコーチとしての自覚を促す効果もありました。
今回のポイントは以下のとおりです。
来週はここから先について考えていきたいと思います。
今回のカット写真は、渋谷インターナショナルラグビークラブの小1クラスの模様です。
クラスが始まる前に、メンバーを紹介しているのですが、コーチ陣全員が膝つきで子どもたちの目線に合わせているのが素晴らしいと思いました。小さな気づきですが大切なことですね。