• 徳増浩司のブログ (Blog by Koji Tokumasu)

<ラグビースクールでのコーチング>②1回の練習で何をするか?

ラグビースクールで週に1回、90分しか練習時間が取れない場合、みなさんなら、その組み立てをどう考えますか?よくあるのが、次のような構成です。

  • ウォーミングアップ
  • 基本スキルA(その日のテーマ)
  • 基本スキルB(その日のテーマ)あるいはフォワード・バックスに分かれてなどのユニット練習など
  • ゲーム

こう考えると「その日の練習でどんなスキルを身に着けさせるべきか」をしっかり選ぶことが、コーチとしてやる事前準備の第一歩なります。それが決まると、そのための練習メニュー(ドリル)が決まります。

コーチ資格を持っている方ならみなさんご存じでしょうが、JRFU発行の『ミニラグビー指導の手引き』では、小学生の指導にあたっての基本的な考え方や豊富な練習メニューが104ページに渡って紹介されています。2002年の発行ですが、当時の日本ラグビーフットボール協会小学生・ラグビースクール委員会のみなさんの情熱がひしひしと伝わってくる総合的資料です。

https://www.jrfu-coach.com/_files/ugd/21408f_58d08d965eab4237b2417727da91e4d9.pdf

私は、コーチがその日の練習メニューを決めるときのガイドラインのひとつとして、すべてのラグビースキルを「スペーススキル」と「コンタクトスキル」の2つに分けて考えるようにしています。

「スペーススキル」・・・パス、ラン、キックなど、ボールを動かすスキル

「コンタクトスキル」・・・ブレイクダウン、タックル、スクラムなど、ボールを再獲得したり、相手から奪うスキル

ラグビーとは、つまるところ、ボールを持ったプレーヤーがスペースを活用してボールを動かし(スペーススキル)、相手に捕まったらボールを活かし(コンタクトスキル)、そしてそのボールをまた動かして(スペーススキル)、最後はトライまで持っていくスポーツです。

ディフェンスの場合にも、相手のランニングコースを押さえるのが「スペーススキル」で、そこからボールを持つプレーヤーに実際にタックルすることが「コンタクトスキル」になります。

こう考えると、90分の練習時間を「スペーススキル」と「コンタクトスキル」に分けて構成にしてみると、練習の構成がわかりやすいです。

  • ウォーミングアップ
  • スペーススキル
  • コンタクトスキル
  • ゲーム

今取り組んでいるメニューが「スペーススキル」のための練習なのか「コンタクトスキル」のための練習なのかを、しっかり意識した上で練習を行います。もちろん、ゲームスタイルなど、その両方を同時に求められる練習も少なくありません。

ラグビースクールでの指導を考えた場合、幼児から小学2年生までは、主にタグラグビーなどで、上記の「スペーススキル」の習得。小学3年以上が、「スペーススキル」と「コンタクトスキル」のバランスを考えながらミニラグビーを進めることになります。

したがって、小学3年生以上では、90分という限られた時間の中に、どのくらい「コンタクトスキル」の時間を入れるべきなのかが、コーチとして一番大きな判断をしなければならない部分になってきます。

これは経験的に思うことなのですが、「スペーススキル」は、子どもたちが学校で接するバスケットボールやドッジボールなどとの共通性があり、日常的で、それなりに自由で楽しい動きですが、習得にはある程度の時間がかかります。一方「コンタクトスキル」は、タックルにせよ、ラックにせよ、腰をかがめて相手にぶつかるという姿勢だけでも、非日常的な動きですが、一定レベルまでなら、反復練習である程度は身につけられます。ただし、体格差が出やすいエリアです。こういうことを総合的に考えて、週一回の練習に何をやるべきかを決めていくことになります。

(この連載は基本的に毎週末の掲載をめざしています)