• 徳増浩司のブログ (Blog by Koji Tokumasu)

小6のラグビー少年が教えてくれたこと

昨日は、台風のために2試合が中止になるという大変つらく苦しい発表がありました。この決定には、多くの方のぶつけることのできない気持ちがあると思います。そんな中で、岐阜市にお住まいという小学6年生のラグビー少年のお母様からいただいたメールが、とりわけ私の胸を打ちました。そのままご紹介させていただきます。

「突然のメール 失礼します。 私は岐阜県郡上市に住む二児の母です。 長男は現在小学六年生。小2で知人に勧められラグビーを始めました。その直後に2015年W杯があり、引っ込み思案で決して上手いわけではないのですが、それからは夢中でラグビーの練習を頑張っています。 私たちが住む郡上市では、ラグビースクールはありません。いま郡上市の小学生でラグビーをやっているのは息子一人だけです。 そのため毎週、水曜、土曜、日曜は片道1時間のよその市にあるスポーツ少年団のラグビースクールに通っています。

そんな息子は、先月20日のラグビーワールドカップの開会式をテレビで見て「僕はこれを四年も待っとんやな」と涙を流していました。 ずっとずっと楽しみにしていた今年のラグビーワールドカップ、日本代表はもちろん、海外の素晴らしい選手が日本に来ること、大好きなオールブラックス、毎日のように試合が見れることに大興奮です。

恥ずかしながら決して生活に余裕があるわけでない私が息子のために唯一手に入れてあげれたのが、末席ながら10月12日の豊田スタジアムのオールブラックス戦のチケットでした。 今日の会見で中止が決まり、どうやってその事を息子に伝えようかと悩みましたが、学校から帰ってきた息子に仕方ないと話しました。

普段はあまり感情を出さない息子が声をあげて泣きじゃくり、呼吸ができないほどでした。 それでもしばらくすると、目を真っ赤にして「お母さん、僕 もう切り替えたで。大丈夫やで」と健気に私に言いました。 世界中にこの二つの試合を楽しみにしていた人がいる、飛行機に乗る時に中止を知った人もいるし、日本に昨日着いて今日中止を聞いた人だっているかもしれない。この試合の為にお金を貯めてチケットを買って待っていた人もたくさんいるはず。それに何より試合のためにずっと頑張ってきた選手も残念でならないはずだと話しました。

それでもたった12歳の息子には厳しい知らせに間違いなく、本人が言うように不可抗力だと納得するのは簡単なはずはないのです。親の私でもこんなに落胆しているのですから。 それでも「僕 もう大丈夫やよ」と言った息子に私は感激し「あんた、立派なラガーマン やな」と言いました。

ラグビーに関わるにはあまりにも環境に恵まれず、生の試合や経験にもほとんど触れることができないこの場所で、それでも私の知らないうちに息子の心がこんな風に育っている事が嬉しく、ラグビーがこんな風に息子を育ててくれたのではないかと感じました。 そのことを徳増さんに伝えたく、思わずメールをした次第です。 突然のメール、しかも長々とすいません。 今後ともラグビーが大好きな世界中の子供達のために益々のご活躍を期待しています。 ありがとうございます」。