• 徳増浩司のブログ (Blog by Koji Tokumasu)

<やはり言語の問題は大きい>

<やはり言語の問題は大きい>

2003年のワールドカップ招致時代から数えると、私は今日までおよそ100回近くの国際会議に出席してきました。アジアラグビー会長を退任した今、こういう会議体験で身につけたスキルやノウハウをどんどん後進に伝えていくことも使命のひとつだと思っています。

しかし、英語での国際会議への出席は想像以上に過酷なものです。どの会議も一応テーマはラグビーのことなのですが、最近は、法務、財務、リスクマネジメント等のビジネス的なテーマを使うことが多く、その専門用語にも頭を悩まされます。

しかも国際会議の特徴は、出席者がそれぞれの“お国なまり”を持っていることで、ワールドラグビーでも、アイルランドやスコットランド、南アフリカ、オーストラリア等々。アジアラグビーでも、インドやスリランカ等々、地域により個性的なアクセントを持った英語がメインとなります。専門家によると、私たちが英会話のCDなどで聞く標準英語を話す人は英国でも全人口の5%程度で、95%の人たちは話し方になんらかの地域的特徴を持っているとのことです。そこで、現地に言っても、相手が何を言っているのかさっぱりわからないという体験が誰にもあります。

これらの独特な英語を含め、朝からずっと会議で英語を理解しようとすると、相当な集中力を要求され、会議が終わってホテルの自室に戻ると、ばたっとベッドに倒れたくなるほど疲労します。(アジアの会議は通常午前8時~午後5時くらいまで続きます)しかも、その後に続く夕食会やパーティーでもまた英語&英語・・・。もう英語はいいな、と思ってしまうとせっかくの国際交流のチャンスを逃してしまうので、ついがんばる。すると夜になると逆に頭が高ぶってしまって眠れないというのが、いつもの海外出張のパターンです。

スポーツ庁は、本年3月に発表した第2次「スポーツ基本計画」の中で、「国際人材の発掘・育成を通じて、国際スポーツ界の意思決定に積極的に参画する」という施策を示しています。スポーツ界の国際的人材の育成を強化していこうということです。

私もこの施策にまったく同感です。

それにしても、一般的に日本人はあれほど英語を勉強してもなぜ実践で使えないのか?最近、自分の体験に照らし合わせてこのテーマに強い関心を持っています。

アジアの会議では、ほとんどの国の代表が流ちょうに英語を操ることができます。彼らに聞いてみると「自分の国では英語ができないとそれなりの仕事につけないから」という答えが返ってきます。確かに、日本では、英語を使う必要も緊急性もそれほどない。そこで、なかなか”使える英語“が身につかない。でも、果たしてそれだけなんだろうか。この機会に、このテーマについて数回書いてみたいと思います。