(本原稿は、2021年3月に世田谷区立千歳中学校の3年生に対して行った講演資料に加筆して作成したものです)
みなさんこんにちは。今日から「夢に向かって~これからのグローバルコミュニケーション」というお話をしていきたいと思います。私は2019年に日本で開催された「ラグビーワールドカップ2019」の組織委員会に務めていました。現在は、渋谷インターナショナルラグビークラブというスポーツクラブの代表をやっています。
最初にこの図を見てください。日本の人口は1億2千万人ですが、世界の人口は82億人。ざっと見て、日本の約68倍になります。今、この体育館には213人の中3がいますから、この計算でいくと世界の中に、日本人は3人くらしかいなことになってしまいます。世界が200人、日本人が3人と考えると、残りの197人の世界の人たちとお話したくても、日本語だけでは通じないということになります。(注)2021年当時は世界の人口はまだ78億人だったため、図はそのままになっています。


この図では、もし世界の人が68人いるとすると、その中で赤いマークの日本人は1人しかいないことになります。世界はこうなっているんですね。ここでいくら日本語を話しても、世界の67人の人には通じない。かといって、ひとりひとりの人たちとお話しようとすると、イタリア語や韓国語やケニヤ語を話さないとならない。それも大変なので、まずは世界の共通語である英語でお話することになるのですね。
私はこれまで世界の36か国を訪問してきたのですが、今朝、航空会社のマイレージ記録を見てみたら、飛行機でこれまでに地球を24周まわって、月まで1.2往復しているということがわかりました。それだけ何回も飛行機に乗っているということですが、世界を回るといろいろなことがありますね。
私がアジアラグビーの会長になって最初に行ったのは、インドのチェンナイというところでした。2月の寒い時期に行ったのですが、チェンナイは赤道直下にあるので、2月でも気温は33℃もあるんですね。ここでラグビーの大会が行われたんですが、大会中ずっとグラウンドにいなければならず、頭がクラクラしていました。
ホテルに帰ってみると、なんと部屋の気温が22度に冷えているんですよね。気温差がすごく、さすがにちょっと寒かったので、部屋のエアコンをコントローラーを調節しようとしたのですが、まったく作動しない。そこで、フロントに電話をして「エアコンのコントローラーが作動しなんですが」と言ったところ「当ホテルのエアコンは、一年中この温度に設定されているので、変えられません」という返事。暑い国だからこうなっているのですね。
でも寒気がしてきてしまったので「風邪ひきそうなのでなんとかなりませんか」って言ったら「ちょっとお待ちください」という返事。エアコンを調整してくれるのかと思って部屋で待っていました。やがて、ホテルのボーイさんが持ってきたのが、なんと電気ヒーターだったんです。エアコンで思い切り冷やした室内を電気ヒーターで温めるという、電力の無駄というか。いろいろな国にいくと、いろいろな体験があるものです。
パキスタンで行われたアジアラグビーの執行会議では、その前の週にパキスタンでテロ事件が発生して外務省のホームページでも渡航注意エリアに指定されていました。私はあえて危険なところで会議をやりたくないと思ったのですが、パキスタンの理事が「それでは私たちがテロリストに屈することになる。会議をやることこそが、テロリストに対しての私たちの平和へのアピールだ」と言うではないですか。私はアジアラグビーの会長という立場なので、その意見に反対するわけにもいかず、決死の覚悟でイスラマバードに向かいました。
空港に迎えに来た送迎バスは、何とバスの前と後ろをポリスの護衛の車が並走して、物々しい姿でホテルに向かいました。私はこれではかえって目立ってしまって危ないのではないかと思ってしまったほどでした。2日の会議を無事に終えて、羽田空港に戻ってきたときにはほっとしたというか、遠くに見える富士山が夕焼けに美しく映える姿を見て、自分は本当に安全な国にいるものだと実感しました。
海外に行くといろいろ予測できないことが起こるものです。
私のモットーは「ダメもと」という考え方。「ダメが元で何でもやってみよう」「失敗を恐れずになんにでもチャレンジしてみよう」と思ってやってきました。この考えはグローバルな体験をするためには、意外と大切なことかもしれません。
私はみなさんともいろいろご縁があります。近くの世田谷区の烏山中学の出身で、中一の時には東京オリンピックがあって、学校の横の甲州街道がマラソンコースになっていたので、全校生徒で応援しました。金メダルを取ったエチオピアのアベベ選手が裸足で走っていたのを覚えています。
(つづく)