<子どもたちに“おもしろい”ラグビーを⑦>
先日、東京都の中学交流戦を見ました。成長期ということもあり、かなり体格差のある選手たちが、体をぶつけ合う場面もありました。12人制でスペースがあるので、ひとりずば抜けた選手がいてブレイクすると、なかなかカバーディフェンスで止めるのもむつかしいものです。
体格のいい選手が当たって抜ける。それで本人もますますパスをしなくなる。この連鎖をなんとか止められないものか。
帝京大学や東福岡高校をはじめ、今やチャンピオンチームはどこも、フィジカルを強調し、フィジカルの重視は国際ラグビーの大きな流れでもあります。
子どもたちの中にも、相手にぶつかるのが大好きという子もいますし、フィジカルはラグビーの大きな魅力のひとつであることは間違いありません。しかし、この時期にしか伸びないハンドリングスキルをもっと重視したラグビーをする方法はないものか。
交流戦を見ると、ハンドリングスキルを強調したチームも少なくありませんでした。しかし、その一方で大人の15人制ラグビーそのままのようなチームもありました。
その理由は以前にも指摘した「ハンドリングラグビーの理想モデル」が身近にないからではないでしょうか。成人の完成したフィジカルラグビーが、どうしても子どもたちのお手本になってしまいます。
アジアのラグビーも同じ課題をかかえています。一般にアジアの子どもたちは強いフィジカルコンタクトが苦手です。アジアのラグビー競技人口を増やすためにも、最近のフィジカルの強調とラグビーへの入りやすさが、相反しなければと思っています。
(写真は東京都中学交流戦より)