• 徳増浩司のブログ (Blog by Koji Tokumasu)

「私たちはやれることはすべてやった」

 今日は、あることをきっかけに、久しぶりにこの言葉を思い出しました。昨年のラグビーワールドカップで、釜石での第2試合が台風19号ために中止になったときに、桜庭義彦さんが語った言葉です。

「釜石開催の中止、残念でなりませんが、やむを得ない判断だと思います。釜石開催はこれでノーサイドですが、私たちはやれることはすべてやりました。気持ちを切り替えて、この試合開催に携わったすべての皆さんと讃え合いたい想いです」

 短い中にもなんと多くの気持ちがこめられた言葉でしょう。この写真は、当日、キックオフの時間に大漁旗を持って鵜住居復興スタジアムに向かった市民やサポーター達です。写真の左奥に写っている仮設席は、ラグビーワールドカップで世界からのお客様を迎え入れるために特別経費をかけて作られたものでしたが、大会後に撤去されました。その仮設席を目にしながら大漁旗を持ってスタジアムに集まった市民たちの姿は、桜庭さんの「私たちはやれることはすべてやりました」という言葉が重なり、私たちの胸を打ちます。

 私たちの周りには時に自分たちの力では変えられない運命がありますが、それを「受容」して前に向かってく気持ちが大切であること。しかしその前提にあるのは、ただ黙って運命を受け容れるのではなく、それに対して「自分たちはやるべきことをすべてやった」という言い切れる実感を持てることではないでしょうか。それがあるからこそ前に進むことができます。

 話はいきなり、今朝に飛びますが、昨日の小池都知事の会見で「四連休の外出自粛」の要請が出されたため、私たち渋谷インターナショナルラグビークラブは今度の日曜の練習を中止することを決め、今朝、保護者のみなさまに通知しました。東京都ラグビースクール校長会のご尽力でやっと辰巳の森グラウンドをお借りでき、子どもたちが全面芝でラグビーができるという矢先、夢の実現の直前でした。

 新型コロナウイルスの感染のため3月からずっとクラスが開設できず、中にはラグビーに対してのモチベーションが下がってきているという子がいるということも耳にしました。

私たちコーチ陣はクラス再開のためにありとあらゆる方法を考え、コロナ下でどんなことができるかをギリギリまで研究し、メディカル委員会も何度も開催し、7月上旬には、一泊二日のコーチ研修会も開いてこの日に備えてきました。しかし、私たちの熱い思いは今一歩のところで通じませんでした。ただ、私たちが言えるのは、釜石の桜庭さんとはレベルは違うかもしれませんが、私たちなりに「やれることはすべてやった」と言い切れることです。

少し長い引用になりますが、今朝、保護者向けに出したメールメッセージを転記させていただきます。全国のラグビースクールを始め、多くのチームが同じような課題と苦労をかかえて日々努力されていることと思います。

(保護者のみなさまへ)

渋谷インターナショナルラグビークラブでは、7月26日の練習実施に向け、コーチ陣、メディカル委員、事務局が一丸となって本日まであらゆる手だてを使い、可能な限りの努力をしてまいりましたが、新型コロナウイルス感染防止拡大に伴う昨日の東京都の外出自粛要請を受け、大変残念ながら、練習の中止を決定するに至りました。

3月から練習が中止になった後も、私たちは、ある時は練習動画の配信を試みたり、オンラインでのZOOM教室を開催するなど、様々な方法を使って少しでもお子様たちがラグビーに触れられるような機会を作ってまいりました。あと一歩で練習再開までたどり着いたところでこのような判断をしなければならないのは、大変残念な限りではありますが、今は我が国でのウイルス感染拡大を防止することが最優先されるべきであることをクラブの方針とさせていただきました。

教室再開のために様々なご尽力をいただきましたみなさまに、この場をお借りして御礼申し上げます。

渋谷インターナショナルラグビークラブ会長 徳増浩司